来たる12月9日（土）、10日（日）の2日間、下北沢の高架下にあるイベントパーク・SHIMOKITAZAWA CAGEにて、アウトドアサウナイベント「CORONA WINTER SAUNA」の開催が決定した。でもコロナ×サウナと聞いて、疑問符が浮かぶ人も少なくないはず。そこで“なぜ今、サウナなのか？”を、これまでプロデューサーやアドバイザーとして数々のビッグイベントを成功させながら、現在プロサウナーとしても存在感と認知を広げている秋山大輔氏に話を聞いた。

―プロのサウナーが見た日本、世界のサウナ事情とは？

サウナはもともと、フィンランドで生まれたカルチャーとして知られ、オリンピックをきっかけに徐々に世に広まりました。でもそれは現地の習慣に忠実に従ったものではなく、その国や地域合わせてアレンジされて広まっていったんです。実際、日本では「おじさんたちの溜まり場」のような印象が根強かったりする。そんなサウナですが、本場フィンランドでは子供も含め老若男女一緒に楽しめ、最近では若者たちも集まるスタイリッシュなパブリックサウナも増えつつあります。また、アメリカでもニューヨークやシリコンバレーなどの最先端が集まる場所を中心に再注目されています。それは、そこで働く経営者や技術者、クリエーターなどが実践する、マインドフルネスなどに通じる効果があるとされているからだと思います。

―汗をかくだけではない、着目すべきサウナの効果

サウナ（温室→水風呂→外気浴）とは本来、大自然の中で自然と自分自身を結びつける習慣だと考えています。自然のエレメントである火（温室）と水（水風呂）と風（外気浴）のルーティーンによって、体と自然が融合することで、フラットでストレスのないゼロ状態になれる。シリコンバレー同様に日本で働く人たちも日々、とてつもないプレッシャーを感じながら働く中で、心をリセットしてストレスを軽減したいはず。それが特別なスキルを必要とせず、サウナに入るだけで体感できるとしたら、生活にも積極的に取り入れたいですよね。

―プロサウナーが考える「上質なものを手軽に」という新しいアプローチ

サウナって、日本ではおじさんの習慣ってイメージがまだまだ強いからこそ、僕はもっと別の切り口でアプローチしたくて。例えば今回のようにコロナさんと組んでアウトドアサウナを通じて若者へサウナの魅力を伝えたり、「サウナ×ファッション」という切り口でサウナのリブランディングを目指したり。またそこでこだわりたいのは、いろんなことが便利になった今だからこそ、上質なものを体感できる場所を提供するということ。若い人から女性や子供たちまでちゃんと、心地よさを体感できること、それも手軽に。今までサウナと距離のあった人たちにどのように「上質なものを手軽に」伝えるかが、サウナを仕掛けるに当たってのキーワードです。

―意外にもマッチするサウナとコロナの関係

コロナってライムを絞って飲みますよね。それってビタミンやミネラルを補給したいサウナの後に、すごく合うんです。味の面でも、サウナに入ると五感が研ぎ澄まされるので、ライムの香りや口当たりがライトで飲み易いコロナはとてもマッチします。そんな切り口からでも、若い人がサウナに興味を持つきっかけになればいいですね。

―改めて今、サウナを仕掛ける理由

今、世界ではさらにハイブリッドされたサウナが増えているんです。例えば、フィンランドの首都ヘルシンキにある「ロウリュ（※1）」っていうサウナは海沿いにありレストランが併設されていて、週末になるとDJが入ってクラブ空間になり、若い人たちが集まったりしています。またニューヨークにある「ハイヤードーズ（※2）」では、ブランドロゴや世界観など、とにかくスタイリッシュでカッコイイんです。一言で「サウナ」といっても色々なアプローチがあり、オリンピックまでに世界中のサウナーが行ってみたいと思うサウナを日本で仕掛けたいと思っています。

―本当に気持ちいいサウナを知ると、後戻りできなくなる!?

今の日本に浸透している我慢くらべみたいなサウナじゃなく、バランスのとれた温度と湿度の温室、水風呂、外気浴。まずはそれらの施設が整った環境で、少しでもサウナの本質を味わったら、サウナを知らなかった今までの人生には戻れないはず（笑）。ただ伝える以上は、こちらも本質を追求し続け、最高のサウナ体験になるように責任と覚悟をもってやるつもりです。

―最後にコロナが掲げる「This is Living（日常の喧騒から抜け出し、生きていることを実感しよう）」というメッセージについて、秋山さんにとっての「This is Living」とは？

フィンランドの森の中でスモークサウナに入り、その後湖に飛び込んだ時、自然の音が聞こえたし、湖の泥水からミネラルを感じた。それがとっても心地よかったんですよね。そうやってデジタルデトックスして、サウナを通して自然と一体化することが「This is Living」かな。