2018.6.2
2015年を皮切りに日本で開催されるコロナフェスの初年度から今年で4回連続の出演となる、まさにコロナフェスとともに歴史を刻むアーティスト、SAIRU。ジャンルにとらわれず聞いてくれる人の人生のサウンドトラックを作る気分で音を奏でるインストバンドだ。その名の由来は漢字で「彩流」。流れを彩る。山あり谷ありの人生の流れに抗わず、自然体な彼らが今と昔に思うこととは。リーダーのKOHEIに聞いた。
バンドマンなので曲を作って音源をリリース、LIVEをするというサイクルが生活の軸。中でもLIVEをしている時は無我夢中で邪念がなくなるんです。LIVEが終わった時に「あの時生きていたな」としみじみと感じられます。
メンバー全員とても仲が良いです。だいたい一緒にいます、練習も曲作りも飲み行くときも。ちなみに(2016年6月にリリースした)「BEER FOR NOW」のPV然り、いつも僕らの傍らにはビールがあります(笑)。今までバンド以外での仕事を5人それぞれがやっていた時も、仕事後の練習時はなんだかんだ最終的に全員集まってました。誰かしらスケジュールが合わない時は、LIVE出演はお断りする。そんな調整をしながら、バンドに対する気持ちを一本化していった感じですね。
どう社会に属するのか、どうやりたいことを貫くかという葛藤がありました。その中でも僕は、常に「やりたいことを選んできた」人生かと思います。「今を生きている」と思えます。ただ、それまでにはいろいろなことがありました。SAIRUを結成してからまずデモCDを持って日本全国の旅に出て。旅から帰ってくると周りは27歳くらいで、しっかり働き自分の生活の基盤を作っていました。フラフラしている僕の姿を見て心配してくれたし、説教もしてくれました。彼女も家族も心配し始めて、続けることでだれかを悲しませるのは嫌だな、と思ったこともありました。基本的に僕は楽観的だから「大丈夫でしょ」と思ってたけど、あまりにも周りから言われ過ぎて不安になったんです。自分が人と違うかもしれない恐怖から追い込まれて、その頃「普通になりたい」と何度も思い悩んでいました。
「普通にお金を稼ぐ」ことを目指して、ゲーム音楽会社の面接を受けたりお金を作れる場所を見つけしようとしました。ある日、僕らの音楽を気に入ってくれていたとある方に「どんな音楽でも作るから仕事ください」と話をしたところ「面白いなと思ったのはSAIRUの音楽を聞いてだったんだ。器用になんでもできるのは、別に君らじゃなくていい。実際、何がやりたいの?」とストレートに聞かれたんです。その時に脳天にスパーーーーンって閃光が走った感じでした。音楽を楽しくやっているのがSAIRU。実際何をやりたいの、と聞かれたのをきっかけに、改めて「好きな音楽を作りたい」と気づきました。食う食わないじゃなくてやりたいかやりたくないのか。まさにカウンターパンチでした。
なぜ好きなことを続けられたかというと、勝手にどうにかできると信じていたんです。旅をしたことでいろいろな人生のバリエーションを知ることができたのが影響しています。周りがやんや言ってきたけど「好きなことを続けること自体は、そんな難しいことじゃないんじゃないかな」と思って。実際は難しいことや試練もありましたが、悩みや不安に飲み込まれずに行動して生まれた問題や課題を勢いでオラオラ乗り越える感じでした。前述の「何がしたいの?」という一言をきっかけに、意思とメンバー編成も固まって自主イベントばっかりだったのがオファーも増えてきたんです、不思議と。そしたらその勢いで子供もできたり、といろいろなビッグイベントが重なりました。好転するときは一気にくるんですよね。バンドも長い準備期間を経て、ようやく全国からオファーをいただけるバンドになり得たのがこの時期だと思います。仲間も応援してくるようになり、自分も含めメンバーの仲間や家族が支えてくれてます。本当に嬉しいです。感謝してます。
お客さんと飲み友達になりたい。フロアもステージも同じでお客さんも演者くらいの勢いと雰囲気が好き。孤独だった分、おじさんの愚痴とか意見を聞いて欲しいのかもしれませんね(笑)。ジャンルをよく聞かれるんですが、サンプリングで歌モノも載せているし、ズバリはっきりしたジャンルがない。iTunesだとJ-POPになってます。カテゴライズはなんでもよくて、聞いた人によって違っていてよいかと思っています。
海外にも挑戦したいし、スタジオを作ってもっともっと曲を作りたいです。 SAIRUはENCOUNTER、Now or Never(※いずれもアルバム名に紐づく)に続き、第3章の時期に入ってます。第3章のコンセプトがSPREAD OUTWARD(外に広げる)なので、これからの目標は、どのようにもっと多くの人にその存在を知ってもらうか、ですね。暮らし方に関しては何が正解かはわからない、人の数だけいろんな表現と可能性があったらいいなと思っています。僕は楽しく暮らしたい、幸せだなーと感じれる時間を増やしたい。それだけなんです。生きていれば放っておいても辛いことはやってきます。どうやったら楽しくなるかは常に考えて行動できたらいいなーと思うんです。豊かさは日々の暮らしの延長にあるものになったらいいですよね。
スローライフ云々とかいうよりもお金も趣味も家族も大切にしたい、と思っています。日々の暮らしを大切にしたいです。伝えたいことは「僕ら、生きてるよね」ということ。LIVEでもよくそのメッセージを繰り返し伝えています。これはコロナのブランドメッセージでもある「This is Living」にも通じますよね。みんなで実感したい。そのためにはまず、コロナフェス 2018で一緒に楽しみましょう。
photo:Fumihiko Ikemoto
edit&text:Yoko Onishi
レゲエ、ロック、ジャズ、ヒップホップ、エスニックなどバックボーンのことなるKohei(Agitator, Gut guitar,
MPC)、尾崎高太(Guitar)、松浦要介(Drums)、Kinosan(Sax)、Leverett(Bass)の5人のメンバーからなるインストゥルメンタルバンド。自主レーベルWONDERLUSTを主宰。人と人の縁を大切にするハートフルなバンドだ。今年もコロナフェスを始め日本全国津々浦々のフェスやLIVEに出演予定。
http://www.sairu-a.com
2019.10.18
Corona CONNECTIONS vol.09 : Michael Kaneko
Coronaへの思いを訊くとともに、オリジナリティ溢れるサウンドを奏でるMichael Kanekoのバックボーンに迫る。
2018.12.03
Corona CONNECTIONS vol.08 : Hilda Palafox
メキシコアート界でもっとも注目される一人であるヒルダ・パラフォックスが11,864Kmを超えて広島県・尾道市に渡った。
2018.06.02
Corona CONNECTIONS vol.07 : SAIRU
アーティストであり生身の人間。生きとし生けるLIVEを送る、そんな彼らが今と昔に思うこととは。リーダーのKOHEIに聞いた。