CORONA

2018.12.03

Corona CONNECTIONS vol.08 : Hilda Palafox

メキシコアート界でもっとも注目される一人であるヒルダ・パラフォックスが11,864Kmを超えて広島県・尾道市に渡った。彼女はその作品を制作する工程で、活動的な女性らしさ、自然、未知なる世界を大胆に追及した。広島県の小さな村での滞在を通して体感した日本文化、そして地元の人々との交流を彼女独自の目線で捉えた作品群だ。屈託のない笑顔の奥に垣間見るブレない芯をもつアーティスト。どんなことを思いどんな風に作品を生み出すかを聞いた。

ヒルダ・パラフォックス展覧会にて。アーティスト・イン・レジデンスで滞在した広島県・尾道でヒルダが制作した作品群。

「メキシコから日本へ:11864キロの旅」@インスティトゥト・セルバンテス東京(スペイン語圏の文化センター)。
2018年5月30日(水)から1ヶ月の間、展示した。

優しさと強さを備えるメキシコ発女流アーティスト

ー まずは自己紹介をお願いします

名前はヒルダ・パラフォックス。アーティストネームはポニで、みんなからポニって言われているわ。メキシコ生まれよ。

ー どんなきっかけでこのコロナのプロジェクトが始まったのですか?

日本在住のキュレーターがInstagramで私を見つけてくれて、それで東京と広島県尾道での制作をするきっかけを作ってくれたの。ミラクルな出会いだわ。1ヶ月尾道で制作した作品をこうしてコロナサポートのもと日本に住んでいるみんなに見てもらう機会をもらったの。

ー 日本に来るのははじめて?

2回目。最初はバケーションだけだったんだけどすごく魅力を感じた。だからずっと訪れたいと願っていたのよ。メキシコ出身とは、もちろんカルチャーも違うしね。どこに行っても冒険みたいでどんな瞬間も楽しめているわ。実際に日本で暮らして、出会った人と話して盛り上がってパーティもして。日本で出会った友達はみんなとってもフレンドリーで、本当にエキサイティングで快適な日々だった。

ー 広島県尾道での制作活動を経て、何を感じた?

尾道はとっても小さな街。住んでいる人が、東京やメキシコとは違う印象だったの。すれ違う人みんなが「ハロー、ポニーちゃん」って言ってくれてとにかくフレンドリー。会ったことない小さな女の子が話しかけてくれたりして。滞在したのは小さな古民家だったんだけど周りの緑も木も空気もどれもアメージングでね。雨でも天気の日でもいつも違う表情を感じたわ。あらゆることからインスパイアを受けたわ。

ー 尾道で得たアイデアをどう作品に反映した?

尾道で感じた自然はメキシコとは一味違ったわ。普段、植物や風景をナチュラルに作品に取り入れているんだけど、海や山々をいつもより力強く表現できた気がする。竹と女性を描いた作品も特徴的かな。

ー いつどこでTHIS IS LIVING※を感じる?

それぞれに人生を楽しみ、心に余裕を持つこと、人と一緒でなくていいと知ること、自分目線で楽しい方を選ぶことよね。ん~、THIS IS LIVINGは毎日感じるわ。朝起きると「何がしたい?」って自分に問いかけるの。したいことをできるだけできるように努力するのよ。流れに身を任せて。だって私たちは自由の身なんだから。日々、自分の中にあるアートをアウトプットできることにとても幸せを感じる。

ー 性格について教えてください。今までにそれを象徴するストーリーはある?

幼少期は本当に恥ずかしがり屋な女の子だった。どっちかっていうと、外に出て人に会ったり何かに挑戦することを避けている子。今は何にでもチャレンジするようにしているの。それは、その方が楽しいことに大きくなるにつれ気づいたのよね。NOじゃなくてまずはYESって言おうと思って。

ー あなたのゴールはなんですか? そのために具体的に努力していることはある?

制作活動をこれからもずっと続けていくことかな。したいことをし続けるということ。それをすることで新しい世界が待っていることを知っているから。

ー あなたのアートワークの特徴は?

1~2年前までは、すごく強い女性を描こうと思っていたの。だけど最近では、女性の強さとともにそのしなやかさを表現できたらと思うようになった。柔らかくて強くて、2つの側面があるってことをね。

ー 難しい質問をごめん。どれが一番オススメの作品?

新しいテクニックで描いたコレ。チャコールで書いているんだけど鉄のパウダーとNIKAWA GLUEというノリとミックスして仕上げた手法で。これは尾道で試したの。あと一つは尾道の風景と女性を描いたもの。尾道という場所自体がまるで女性の体に見えて、ピンクの空と豊満な女性の輪郭を意識して描いたのよ。

ー モチベーションはどんなこと?

家族、友達、ボーイフレンドが私の心の支え。彼らが喜んでいる姿を見るのが嬉しいな。

ー どんな映画や音楽があなたを元気にする?

Spotify(音楽配信サービス)で色々聞いている。80sや90sや50s、特にマッシヴ・アタックを頻繁に聞いているかな。制作をするときには、常に音楽があるわ。

ー コロナと今後どんなプロジェクトをしたいですか?

パワーのある女性をテーマにして何か展示できたらなと思う。

ー 近い将来にバケーションプランはありますか?

8月に誕生日があって、メキシコにあるとってもステキなビーチに行くことにしているの。最近はすごく働いているからね(笑)。何もかもリリースして、コロナ片手にのーんびりしたいな。メキシコのマスンテ(MAZUNTE OAXACA)というビーチがとびきりオススメよ。メキシコに行くことがあったらぜひ訪ねてみてね。

※THIS IS LIVINGとは
これが人生だ、これが生きること、という意味。人生における本質的な豊かさや歓び、価値観の大切さを示唆するコロナのブランドメッセージ。人々が人生の95%を室内で過ごしているという現代において、コロナは自然を愛し、日常の喧騒から離れ仲間と一緒にかけがえのない時間を作り出すきっかけを提供します

photo:Yusuke Kashiwazaki
interview & text:Yoko Onishi

Hilda Palafox

メキシコ生まれのグラフィックデザイナー/ビジュアルアーティスト。強さとしなやかさを兼ね備える女性をテーマにしたアートワークをはじめ、風景画、彫刻を手がける。愛称はポニ。独特なタッチで繰り広げられるオリジナリティあふれる世界観を構築する。

https://hildapalafox.com
https://www.instagram.com/poni/

RECENT POST

VEW ALL